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BLUE NOTE

SSS_バージンスノウ1

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今年最初の雪が低い空から舞い落ちる。ひらひらひらひらと音もなく。オレの上に、そして前を歩くアイツの上に少しずつ降り積もっていく。ソウルで幾度も冬を越したにもかかわらず釜山育ちのオレとアイツは、やっぱり雪を見るとココロが躍り、毎年初雪が降るとこうやって2人で外に飛び出すのも恒例行事。「雪なんてソウルじゃ珍しくないでしょ」まったくこの街に住んで何年目なの?と聞くのはミニョク。「こんな寒い日に外に行くの...

SSS_バージンスノウ2

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暖かな店内で冷たいパピンスを前に美味しそうに頬張るオマエは嬉しそうだ。こんな寒い日に食べにくるお客がいる訳もなく、店内は案の定ガラガラの貸し切り状態。お客はオレとアイツの2人きりだった。「くー・・・冷めて・・・・うまー・・・・」食べながら頭をトントンと叩くその仕草はあまりの冷たさに頭がキンと痛むせいだろう。それを見てよけいに食べるのを躊躇っていたオレはさっきからスプーンで白い山をかきわけてはまるで...

SSS_バージンスノウ3

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靴を脱ぐのももどかしくてオレ達は賑やかな玄関におざなりに靴を脱ぎ捨てる。リビングで寛ぐマンネ達に「ただいま」と一言だけ告げて2人逃げ込んだオレの部屋。「ミニョクwwwテレビのボリュームあげようか?」ジョンシンの声がドアの向こうに聞こえる頃には冷えた唇を合わせてた。「いや・・・ジョンシナの部屋に遊びに行ってもいい?」オレ達に気を利かせたであろうミニョクがジョンシンを誘う声は2人が作り出す水音に掻き消され...

SSS_バージンスノウ4

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ソウルっ子には珍しくもない雪にテンションを上げるのはいつも故郷を同じくするオレ達2人。一緒に飛び出して行く相手がいなくても初雪を見た時の高揚感は変わらない自分に苦笑しながら歩く道はあの日アイツと歩いた場所へと続いている。取り出したスマホで、寝癖の残る髪型をゴマカシしながら撮ったセルカ。映りはまぁまぁか・・・チェックしてネットに上げる。再び歩き出すオレの頬を冷たい風がかすめて、冷たくなった頬や手を温...

SSS_バージンスノウ5

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初雪の日にデートした2人は幸せになる。そんなジンクスがあるなんてオレ達は知らなかった。ただ初雪が降るたびに、オマエとはしゃいで飛び出して一緒に感じるその空気が好きだったんだ。**********聞き覚えのある声に耳を疑いつつ声のした方へと視線を向ける。『ジョンヒョナ』名前を声に出すことができなかったオレに伸ばされたその手。温かだろうその手がすっかり冷たくなったオレのことを温めようと待っているのに素直じゃない...