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BLUE NOTE

天使にラブソングを 4

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ねっとりとした異国の夏の空気が、薄い壁越しから室内に忍び込む。濃厚な熱気とどこか重苦しいような淀んだ空気は東京においてこの時期逃げられるようなものじゃない。大通り沿いの狭いアパートの一室。車通りが多いため、エアコンの排気ガスと熱がさらに気温を上げているに違いなかった。2段ベッドの部屋の片隅にある収納に押し込められた服。ギターにアンプにキーボード。机の下を占領するのは多国語の勉強に使う本たち。ジョン...

天使にラブソングを 3

2
「っちぃなぁ・・・」残暑が残る夏日の下、流れるように滴り落ちる汗をぬぐって怨みがましく太陽を睨みつける。空は青く高く済み渡り、かの世界を垣間見れるような錯覚を覚えた。とうとう来てしまった。□□□□「もう一度言ってくれないか?」綺麗な顔を歪めて上司がこちらに耳を傾けて聞いた。絶対に聞こえているくせになぜもう一度同じことを言わなきゃいけないんだ。ヨンファはそう思いながらもバカなお願いであることは間違いない...

天使にラブソングを 2

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見つけたのは偶然だった。能天使のヨンファにとっては、人が送る人生なんていうものは普通これっぽっちも関係も接点もありはしない。ただ、「神様」という名前の尊いお方の命令が出たら目的の悪魔と戦うだけ。悪魔が大人しければ毎日が退屈で平和で、大暴れされれば地獄の日々だ。それは自らの存在が消えてしまうまで永遠に続く。人よりはるかに高次元の能力。不老不死の身体。それらを持つヨンファはふと思うのだ。毎日は幸せなの...

天使にラブソングを 1

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「ヨンファ!ヨンファいないのか?」やわらかな日差しが差し込む美しい回廊に、似つかわしくない声が響き渡る。「ヨンファ!ったく、アイツはまたあそこか」美しい金の髪。恐ろしく整った顔立ち。すらりとした姿からは想像もしないようなぞんざいな口ぶり。おそらく、彼の配下のものが聞いたら目を丸くして驚いたことだろう。けれど天使庁の奥深くと言う場所なら話は別だ。ごく限られたものしか出入りすることはかなわない場所だか...